【2024年】証券業界の業界レポート【エグゼクティブサーチファーム】

[目次]
証券業界のトレンド
証券業界の収益構造
求められる人材像、スキルセット
おわりに

証券業界のトレンド

証券業界は、投資銀行業務、トレーディング、ウェルス・マネジメント、アセットマネジメント、リサーチ・アナリシスなど、多岐にわたる機能を持つ企業群から構成されています。

近年、市場の変動性の増加やテクノロジーの急速な進歩により、これらの各セグメントにおいて変革が起きています。

投資銀行部門では、M&Aアドバイザリーやディールストラクチャリングの専門知識が重視されており、市場の変動に応じた複雑な取引の設計から実行までが求められています。また、コーポレートファイナンスアナリストは、企業の資本構造やファイナンシャルモデリングのスキルを駆使し、企業価値の最大化に貢献しています。

ウェルス・マネジメントとアセットマネジメントの分野では、顧客のリスク許容度と投資目標に基づいたポートフォリオ管理が重要となっており、個別の資産配分や資産運用戦略の策定が中心業務です。最近では、ESG（環境、社会、ガバナンス）基準を取り入れた投資戦略が注目され、持続可能な投資の重要性が高まっています。

リサーチ・アナリシス部門では、市場のマクロ経済による分析や個別企業のファンダメンタルズ分析はもちろんですが、直近のトレンドはデータサイエンスと計量経済学による分析が増えています。

それぞれの領域の収益構造の変化にも注目していきたいと思います。

証券業界の収益構造

上記のように収益構造を変化する証券業界の会社は、特にデジタル化の加速や金融市場の変化によって大きく影響を受けました。

委託手数料の収益は、これまで同様堅調に推移していますが、特にウェルス・マネジメント領域については、取引手数料の引き下げ・無償化に大きく影響を受けています。機関投資家についても、オンライン取引の普及により、証券会社の担当者を介さずに売買を行うケースが増えてきています。

投資銀行業務による引き受けや売出し、募集などは変わらず収益源となっていますが、グローバル化の進展や業界再編、デジタルトランスフォーメーションによってM&Aは増加傾向にあり、それに連なってアドバイザリー業務が増えています。

アセットマネジメント業務は、管理手数料の引き下げや多様な資産への投資といったマイナスの影響が出ていますが、直近のトレンド領域への投資（ESGや新興市場、テクノロジー）やデータ分析とAIを活用した投資戦略によって、堅調な収益を得ています。

求められる人材像、スキルセット

証券業界の収益構造の変化とともに、証券会社が求める人材も変わってきました。これまではトレーディングの部署が収益の柱だったのが、今ではAIによってその席は少数になっています。今後、必要となるスキルセットが何かが考えられる時代に突入しています。

証券化商品、社債・ローン、プロジェクトファイナンス、オルタナティブ商品など、幅広いアセットクラスにわたる投融資案件の信用リスクを専門的知見から、客観的かつ多面的に分析・検証できる能力が重視されています。マクロリサーチやエコノミックリサーチ、エクイティリサーチなどに分類され、各種リスク（市場リスク、信用リスク、オペレーショナルリスク等）を評価し、リスク軽減策を理解しているかが重要です。

また、担当するアセットクラスは本人の専門性や業務経験、チーム全体の状況を勘案して総合的に判断されるため、特定の分野における深い知識とともに、新しい分野への適応力も求められるでしょう。培った専門知識をフロント投資部署や海外支店で活かすなど、キャリアパスが多岐にわたります。

再生可能エネルギー案件を含むプロジェクトファイナンスや、海外インフラプロジェクト業務など、グローバルな案件への関与が増えています。これに伴い、国際的な潮流を理解し、英語を含む語学力も重要な資質となっています。

Fintech領域の求人では、ブロックチェーンの技術の活用やデジタルアセット領域（デジタル証券、セキュリティトークン、デジタル通貨、暗号通貨等）における商品開発や新規サービス開発なども活発化しています。未経験の方でも、可能性を見出してウェブマーケティングなどの職種で転職することもあります。

総じて、専門性は高くなっているため、今後のキャリアパスを踏まえてキャリア形成をしていくことが重要です。

おわりに

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