【第1回】サステナビリティ経営の大きな潮流
昨今コンサルティングファームや上場企業など、多くの会社で注目を集めている「サステナビリティ」という言葉。社会的な責任や環境問題に関する取り組み等、消費者や関係する投資家からの要求も強く、今後の会社経営には欠かせないキーワードとなっています。
本連載記事では、サステナビリティについて、下記様々な観点から全4回で解説していきたいと思います。
1.サステナビリティ経営の大きな潮流(今回)
2.転職市場の中でのサステナビリティ
3.ビジネスキャリアとサステナビリティ
4.サステナビリティコンサルタントとして働く意義、キャリアデベロプメント
1.サステナビリティ経営の大きな潮流
企業が、様々な環境・社会問題の解決を通じ、 長期的な事業継続を目指すサステナビリティ経営。
ESG(Environment – 環境、Social – 社会、Governance – 企業統治)、SDGs(Sustainable Development Goals)、CSR(Corporate Social Responsibility)など表現の仕方は様々ですが、今日それに関連するニュースを毎日我々は、目にするようになりました。
その理由として、下記のような要因が考えられます。
・環境負荷が目に見えて深刻になっている(例えば、気候温暖化により被害の甚大化)
・外部不経済が顕在化している(経済活動の外側で個人や途上国で発生する不利益~例えば、途上国労働者の人権問題や搾取)
・消費者のニーズが変わってきている(例えば、環境や社会に負荷を与えて生産されたサービスは購入しない)
・従業員の意識が変化している
欧州を中心とした意識の高まり
実際このような状況に対する意識の高まりは欧州を中心にNPOなど非営利団体の活動により広がり、また、ルールメイキングによる市場の主導権獲得の思惑を背景にした法制化は、欧州市場で活動する企業にも影響を与えるようになりました。
日本の状況
日本はというと、企業の意識、消費者の意識ともにまだ一部にとどまっていました。
それが、大きく変わったのが、当時の菅内閣が2020年10月の所信表明演説において、日本が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
まず、今まで、CSRつまり企業の社会的責任をアピールするが、自身のビジネスとは、少し離れた企業PR的なものから、サステナビリティを企業経営計画の中心に据えなければいけないと感じ始め出した日本の企業、経営者が増えてきたと言えます。
株式市場からのプレッシャー
2006年に当時のアナン国連事務総長が責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)を提唱、その内容は、投資家に対して、企業の分析や評価を行う上で長期的な視点を持ち、ESG情報を考慮した投資行動をとることを求めるものでした。
そして、現在まで、PRIの署名機関は2006年の発足以降、右肩上がりで増加しており、2022年末現在で5314機関にのぼり、運用資産合計は121.3兆ドル(1ドル=135円換算で約1京6000兆円)で、日本のGDPの約30倍になります。
よって、機関投資家を中心に、投資をしている企業に対して、“エンゲージメント”という形で、企業がいかにESGに基ついた経営をしているかに対して、状況を把握するともに、その進捗状況を確認する形で、プレッシャーをかけるようになりました。
加えて東証がプライム企業に対して、世界の機関投資家の関心に応え、資金を呼び込むため、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を改訂し、会社の持続的成長と中長期的な企業価値の向上のために、非財務(ESG)情報の開示を要請していることも、日本企業を動かす要因になっています。
次回では、このようなサステナビリティの高まりで企業が何に注力し、どのような求人が増えているかをお話したいと思います。
イーストウエストコンサルティング株式会社
コンサルティングファーム業界特化コンサルタント
池田 和正
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